合同会社は転職先に良い？株式会社との違い

転職先を探しているときに「合同会社」という言葉を見かけたことはありますよね。

「聞いたことはあるけど、株式会社とは何が違うの？」と疑問が残った人もいるのではないでしょうか。

合同会社はまだ認知度が高くありませんが、少しずつ増えており、誰もが知る有名企業の中にも、株式会社ではなく合同会社を選んでいるところがあります。

ここでは、転職先選びに役立つよう、合同会社の特徴と株式会社との違い、メリット・デメリットを解説します。

合同会社の特徴

今現在、日本には株式、合同、合名、合資の4つの企業の形態があります。

その中でも合同会社は、2006年に施行された会社法改正によって導入された形態です。

設立の手軽さ

合同会社は2006年に日本で導入された比較的新しい会社形態で、設立手続きが株式会社よりも簡単です。設立費用も少額で済み、定款認証が不要なため、迅速に立ち上げることができます。

出資者の柔軟性

合同会社では、出資者（社員）全員が有限責任を負います。

たとえば、社員が1名の合同会社では、その1名が経営権を持ち、社員が100名の合同会社では、100名全員が経営権を持つことになります。

これにより、出資者のリスクが限定されるため、少ない資本でビジネスを始めやすいという利点があります。また、出資者全員が経営に参加できるため、迅速な意思決定が可能です。

代表社員と業務執行社員

合同会社では、会社の基本ルールを記した定款により、会社の代表権を持つ「代表社員」と、業務執行権を持つ「業務執行社員」を定めることができます。

これは株式会社における「代表取締役」と「取締役」に相当します。

• 代表社員: 会社を代表し、対外的な契約や責任を負います。
• 業務執行社員: 会社の業務を実行し、日々の運営を担当します。

このように、合同会社では経営権と業務執行権を柔軟に分けることができ、社員全員が経営に関与することが可能です。

株式会社との違い

このように、株式会社と合同会社にはそれぞれ異なる特徴と運営方法があります。転職先選びの際には、自分の働き方や価値観に合った企業形態を理解することが重要です。

資本金

株式会社では、一定の資本金が必要ですが、合同会社では特に規定がありません。

このため、合同会社は少ない資本で設立することができます。

設立手続き

株式会社の設立には定款認証が必要ですが、合同会社では不要です。

また、設立費用も株式会社に比べて低く抑えられます。

経営の意思決定

株式会社では取締役会を設置することが義務付けられていますが、合同会社では設置義務がありません。これにより、合同会社は迅速かつ柔軟な経営が可能となります。

合同会社のメリット

合同会社には、株式会社にはないいくつかのメリットがあります。

これらのメリットを理解することで、転職先選びや企業研究に役立てることができます。

以下に、合同会社の主なメリットをまとめました。

経費を抑えられる

• 設立費用が低い: 合同会社の設立にかかる費用は約6万円で、株式会社の設立費用（約18万円）よりもかなり安価です。
• 決算公示の義務がない: 株式会社は決算公示が義務付けられており、官報掲載費や電子公示費が発生しますが、合同会社にはそのような義務がありません。
• 役員の任期がない: 合同会社は役員の任期が設定されていないため、役員変更がない限り登記費用がかからず、コストを抑えられます。個人事業主が節税対策で合同会社を選ぶケースもあります。

意識判断からの決断が迅速、経営の拘束がほぼない

• スピーディーな意思決定: 合同会社では「社員」全員が経営に関与し、特別な会議を開く必要がないため、意思決定が迅速に行えます。株主総会のような手間がなく、経営の自由度も高いです。
• 柔軟な事業展開: 市場ニーズに応じた事業展開や新規事業の立ち上げ、組織変革などがしやすく、フレキシブルに対応できます。

役員は任期が無期限

• 手間とコストの削減: 株式会社では役員の任期が通常2年であり、その都度役員改選の手続きや登記費用がかかりますが、合同会社には役員の任期がないため、これらの手間やコストを削減できます。

貢献度次第などで利益分配をできる

• 利益配分の柔軟性: 合同会社では、定款に定めることで出資比率に関係なく自由に利益配分が決められます。出資金の多さに関係なく、会社への貢献度に応じた配分が可能です。

これらのメリットを踏まえて、合同会社の特性や自分の価値観に合った企業形態を選ぶことが、転職活動やキャリアの構築において重要です。

合同会社のデメリット

合同会社には、自由度の高さやコスト削減といったメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

これらのデメリットを理解することは、転職先選びや企業研究において重要です。

以下に、合同会社の主なデメリットをまとめました。

社会的な信頼度に引けをとる

認知度の問題: 日本では「会社といえば株式会社」というイメージが強く、合同会社はまだ認知度が低いです。

そのため、「合同会社って大丈夫？」という先入観を持たれることがあります。

ビジネスの世界でも、株式会社に比べて信用度が劣るとされることがあり、取引の障壁になる可能性があります。

BtoC企業の影響: 一方で、消費者向けのビジネス（BtoC）では、会社の形態を気にすることは少ないため、一般消費者に対しては影響が少ないでしょう。

財源の確保が厳しい

• 資金調達手段の制限: 株式会社は株式発行によって広く資金を募ることができますが、合同会社は株式を発行しないため、資金調達の手段が限られます。
• 資金調達の方法としては、社債の発行や金融機関からの融資、国の補助金や助成金が主な手段となります。

株式の上場はない

• 上場のメリットがない: 株式会社は株式を上場することで、多額の資金を調達できる可能性があり、上場企業としての社会的信用度や注目度も高まります。
• 合同会社は株式を発行しないため、上場による資金調達や信用度向上のメリットを得ることはできません。

意思決定が困難になる可能性

• 意見の食い違い: 合同会社では、すべての「社員」（出資者）が1人1票の議決権を持ちます。そのため、代表社員が複数いる場合、意見が真っ二つに分かれると意思決定が困難になることがあります。
• 意見の折り合いがつかない場合、事態の収拾が難しく、内部対立を招く恐れもあります。

これらのデメリットを理解し、合同会社の特性や自分の価値観に合った企業形態を選ぶことが、転職活動やキャリアの構築において重要です。

実際、合同会社への転職は？

合同会社（LLC）は、比較的新しい企業形態であり、その知名度は株式会社に比べて低いですが、転職先としても魅力的な選択肢です。

以下に、合同会社への転職を考える際のポイントと、特に大手外資系企業が合同会社を選ぶ理由をまとめます。

合同会社の魅力と転職先としてのメリット

柔軟でスピーディな意思決定: 合同会社は少人数でも運営可能で、意思決定が迅速に行えます。特にスタートアップ企業や新規事業の立ち上げに関わる機会が多く、達成感ややりがいを感じやすい職場が多いです。

コスト削減: 設立や維持にかかるコストが株式会社よりも低く抑えられます。これにより、資金に制限がある企業でも運営しやすくなります。

自由度の高い経営: 合同会社では、代表社員や業務執行社員が自由に役割を設定できるため、経営の自由度が高いです。これにより、個々の社員の意見が反映されやすくなります。

注意すべきデメリット

• 知名度の低さ: 合同会社は株式会社に比べて知名度が低いため、外部からの信用度が低く見られることがあります。特に社外との取引やブランド価値を重視する場合には、デメリットとなることもあります。
• 資金調達の制限: 株式を発行しないため、資金調達の手段が限られており、大規模な資金調達が難しい場合があります。
• 意思決定の難しさ: 合同会社では、複数の社員が経営に関わるため、意見が割れると意思決定が難しくなることがあります。これが内部対立の原因となる場合もあります。

大手外資系企業に合同会社が多い理由

合同会社は、アメリカのLLC（有限責任会社）をモデルにして作られたため、特にアメリカ本社の外資系企業にとってなじみ深い形態です。

以下に、その理由とメリットを挙げます。

コスト削減: 設立や運営にかかるコストが低いため、大手外資系企業はコストを抑えつつ効率的な運営が可能です。

スピーディな意思決定: 株主総会や取締役会が不要で、意思決定が迅速に行えるため、海外本社との連携がスムーズになります。

運営の自由度: 経営の自由度が高く、会社の運営方針や業務執行のフレキシビリティが増します。これにより、海外本社の方針に合わせた迅速な対応が可能です。

転職先として合同会社を検討する際には、これらのメリットとデメリットを理解し、自分のキャリア目標や価値観に合った選択をすることが重要です。